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  • プロダクティブライフ(PL=生産寿命) ー長持ちする丈夫な牛が一番

    (ホルスタイン ワールド誌 2001. 1月号)

     生産寿命とは一体何なのか?以下に生産寿命を決定する要素や種雄牛の生産寿命指数が何故変化するのか、 又この形質を改良計画プログラムにどのように利用するかをみてみよう。

     生産寿命については、どんな改良計画でもその価値に関して色々議論されるところであろう。 この形質についての説明と考え方は、人によって異なり、価値有るものかどうかについての判断も異なる。

     生産寿命という言葉は1994年から使用されている。この形質を説明する言葉として、色々な表現が使われて来た。 例えば、牛群寿命とか持久性とか耐久力とか長寿性インデックスとかである。表現は異なるが、全ての言葉が意味するところは、 牛が如何に長く牛群に留まるかという意味での予測である。世界的に認知されていることは、健康管理コストが最低で しかも高能力で最も長期間牛群に居残れる牛が、どの酪農家に取っても最も収益の上がる牛である。 体型と能力については評価の手段があるが、長寿性についても収益性を予測する上で何らかの評価基準が必要である。

     雌牛が何時分娩し、何時牛群を去ったかについては皆判るので、ある個体が牛群内でどの期間生産をしたかは直接知ることが出来る。 次に何が平均以上か以下かを知る為に、この形質の平均値を決める必要がある。長寿性に関しては数多くの研究がなされている。 初めの頃の研究では、経産牛の早期から10才の誕生日までを追跡したものであった。しかし、10年という期間は長過ぎ、 多くの牛が10年を待たずに死んで行くので、この期間を雌牛集団にとってより正確を期すため短縮した。 七才が寿命の短い牛と本当に長生きする牛とを区別する時点として適切だとされ、これが生涯年令のベースとされる様になった。 この形質は、平均年齢からの偏差で平均以上に生きた期間を月数として計測される。例えば、ある牛が平均より6ヶ月長生きするとか 8ヶ月短命だとかの様に。平均より長生きし泌乳した期間そのものがある価値を生み出すことになる。

     長寿性のこの評価方法は雌牛用としては充分であるが、種雄牛用としては不充分である。長寿性のデータを取る為に、 もし種雄牛の娘達が7才になるまで待つとすれば、現在使われている精液供給可能な種雄牛のデータは無く、 老齢か既に死んでしまった雄のデータだけに成ってしまう。


    生産寿命指数の進化

     搾乳牛の長寿性について分析すると同時に、長寿性に最も寄与すると考えられる体型形質を決定する為の分析は ホルスタイン協会の手で行われている。雌牛が老齢まで生きるために役立つ体型形質を使ってある種雄牛の娘達の長寿性を予測することは可能である。 従って、1994年に米国農務省と米国ホルスタイン協会が協力してお互いの情報を交換しながら 種雄牛の長寿性に係わる遺伝伝達能力を正確に推測する方法を編み出した。彼等は、先祖や娘の淘汰データや線形体型形質パターンの情報を使って評価値を計算した。 この遺伝価値をPL(生産寿命)と呼び、これが業界の長寿インデックスと成った。

     昔、多くの生産者が使っていた長寿に係わる数値としては、初産泌乳中の淘汰率であった。しかし、この数値は長寿性を正確に反映するものではないので、 この数値に特別の意味を持たすのは、誤解を招く恐れがあった。PLのインデックスは、この淘汰率の不正確性を排除しより正確な価値として使う事が出来る。

     PL(生産寿命)は、ある種雄牛の娘達が同一牛群内で、他の種雄牛の娘牛に比べて平均的にどれ位長持ちするかを示す尺度である。 その尺度は、生産寿命の月数で示され、ゼロを平均としてプラス側への偏差は、それだけ長生きを意味し、 マイナス側への偏差は平均より短い寿命を意味する。長生きする娘牛が何故そうなのかについて誰も判らない。とにかく彼女達は、 牛群内にそれだけ長く居残る事ができる。病気への対抗力とか受胎率とかその他の形質が、長生きの理由かも知れない。PLは、 どの種雄牛の娘牛が他に比べて長生きかを区別する上で、有益な道具である。

    PLの遺伝的予測には、父親のペデグリー(血統)と娘牛の寿命を示す直接的な数値が常に含まれている。しかし、若い種雄牛については、 予測値の正確度を高めるために線形体型形質のデータも計算の中に組み込まれている。種雄牛が歳を取るにつれ、娘牛の実際のデータ (能力、体型共に)や淘汰データが蓄積され利用出来るので、その結果PLの数値が変わる事がある。能力でも体型でも情報の量が増えるにつれ、 遺伝予測値は変わり得る。しかしながら一般論としては、PLの予測値は長年に亘り正確であることが証明されていて、業界にとって有益な価値となっている。 それ故、長寿性の予測値として数年使って来た訳である。


    TPI公式におけるPL

     我々は、新しい千年紀へと移行すると共にTPI公式の中で収益性にもっと重み付けをする様になった。 改良を目指す酪農業界にとってより有益なTPI公式へと改善する為に、何の形質を追加すべきかどうかの研究が行われた。その結果、 PLと体細胞スコアをTPIに追加することが有益であると決められた。そこで、牛の長寿を促進する手段としてPLを含めた新しいTPI公式が採用された。

     TPIのこの変更によりPLデータが充分に吟味される様になったが、一方、カナダやその他の諸国の様にPLかそれと対等な線形形質情報のない種雄牛のTPIを どの様に計算するかという複雑な問題を提起することになった。研究の進捗と共に、PLの計算をするのに多形質計算という新しい方式が開発され、 容易に入手可能な構成指数が線形データに取って代わる事になった。

     全ての種雄牛のPL新計算方式では、乳器構成指数、四肢構成指数、ボディ構成指数を全ての産乳形質や体細胞スコアと併せて使い、 より改善されたPL予測値を出している。この変更は8月のプルーフで採用され11月にそれが更に精度の高いものにされた。 これに伴いPL予測値に多少の変化は有ったが、一般的には僅かなインパクトしか与えなかった。血統上のデータは、 比較的年令の進んだ雌牛の実際の淘汰パターンや個々の娘の淘汰データに基づいているので正確度は極めて高い。この為、 PLの価値が変化する場合、ペデグリー情報が及ぼす影響は大きい。


    PLをどう利用するか

     PLとか他の形質を唯一の選抜手段とするのは賢いやり方ではない。産乳能力やその他の形質を一切考慮せず唯単に長寿のみで選抜をすれば、 長生きする牛は作れるかも知れぬが、収益には結び付かないだろう。ご存知の通り、象は長生きするが、象を搾乳しながら生計を立てる人は居ないだろう。 この遺伝力の最も有効な利用方法は、ネットメリットとかTPIの様な経済評価モデルの一部として使うことである。 PLの様な改良の為の道具を有効利用すれば、生産者として有益であるが、他のどんな形質でも同じ様に間違った使い方をされる可能性もある。

     種雄牛のPL予測値は、時の流れと共に変化し得るので、変化が何時起こるかを承知しておく必要がある。 種雄牛の最初一二回のプルーフでは、娘牛の数がどんどん増えるが、全ての娘が最初の搾乳期である。従って、この時点でのPL値は、 ほとんどペデグリーと体型データに基づき算出されたものである。その時から約一年を経過すると、 娘の淘汰が始まり実際の淘汰データが反映され種雄牛のPL値に影響する様になる。2年目の終わり頃になると、淘汰のパターンが判る様になり、 極めて正しいPL予測値が判る。しかし、種雄牛のセカンドクロップが出始めるとデータ量が増えPL値は再び変わる事がある。この時になれば、 種雄牛の安定した本当のPL予測値が出て来る。

     だから次回貴方がPLの事を聞けば、それが何を意味するかとか、牛群内で長持ちする牛を反映していると理解出来るであろう。 そこでより収益を追求するにはこの形質にどの位の重み付けをするかを議論すべきである。即ち、この事がこれから先数年間に亘り議論されるべきテーマであろう。

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