(エンブリオ トランスファー ニューズレター 2000年12月号)
前年度に続いて1999年の牛受精卵の移植個数は、2年連続で新記録を達成した。520,000個以上の受精卵が
レシピアント牛に移植されたが、50万個を超えたのは史上初である。下記の表に示す通りこれらの受精卵は
12万頭近くのドナー牛から採卵された 715,000個の移植可能卵から使用されたものである。これはドナー牛一頭当り
平均採卵個数が6個でフィールドデータとしては非常に高い数字である。100万個の線に到達する時期は極めて速く近づいており、
業界の発展を示すものである。採卵個数の2/3が移植に使われ、一年前と同じ様にその半分が新鮮卵、残りが凍結卵であった。
地理的に見ると、この年の特長は、南アメリカでの移植個数の伸びが顕著であり世界の総移植数の20%近くを占めている。
アフリカ、特に南アフリカでの移植数は前年対比50%近くの急激な伸びを示した。一方、反対にアジアにおいては5%程度の伸びで、
インド、パキスタンを始めその他の国では全く報告がなされていない。
ヨーロッパでは8%の伸びであったが、これは部分的には英国におけるデータ収集の方法が改善されたことに起因する。
北米ではほぼ前年並みであった。米国では143,057個、カナダで 48,615個であった。受精卵の輸出では米国が18,370個
(乳牛と肉牛の割合はほぼ半々)で、カナダが9,005個と報告されている。
大陸 | 採卵回数 | 移植可能卵 | 移植個数 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
新鮮卵 | 凍結卵 | |||||
アフリカ | 1,765 | 10,005 | 3,766 | 1,949 | 5,715 | ( 1%) |
北米 | 51,224 | 299,180 | 98,391 | 99,495 | 197,886 | (38%) |
南米 | 12,719 | 92,400 | 58,423 | 34,929 | 93,352 | (18%) |
アジア | 11,519 | 74,811 | 11,684 | 38,487 | 50,171 | (9.6%) |
ヨーロッパ | 26,429 | 145,305 | 54,286 | 75,494 | 129,780 | (25%) |
オセアニア | 15,508 | 92,655 | 29,182 | 14,626 | 43,808 | (8.4%) |
合計 | 119,164 | 714,356 | 255,732 | 264,980 | 520,712 |
北米とヨーロッパ以外の地域におけるデータとしては、下記表の様に4ヵ国が群を抜いていて、ブラジルと日本が
それぞれ70,000個と45,000個を移植したと報告している。アルゼンチンと南アフリカが14,000個と5,500個を移植している。
これに次ぐのが中国で4,500個であった。
体外受精卵の分野では、世界で50以上のチームがこの技術に携わっているとされているが、報告が完全では無く
個数の把握は困難である。しかし、移植は30,000個以上と見なされている。国単位では日本が世界をリードしており
1999年に8,000個の体外受精卵を移植し、その60%が凍結卵であった。
国別 | 採卵回数 | 移植卵個数 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
新鮮卵 | 凍結卵 | |||
ブラジル | 9,416 | 50,632 | 23,588 | 74,220 |
日 本 | 10,473 | 8,987 | 36,259 | 45,246 |
アルゼンチン | 3,237 | 7,438 | 7,381 | 14,846 |
南アフリカ | 1,761 | 3,756 | 1,888 | 5,644 |